アクトペディア5

  1. 町内会
    『旧市街』に住む『神人』の代表者たちによって運営されている。
    『神人』社会のルール作りや戒律などを決定するために創設されている。
    土地の実力者を頂点とするヒエラルキーがある組織構成。
    『旧市街』の会合は、町にある小さな診療所で行われることが多い。

    『神人』コミュニティーの拠点である『旧市街』の町内会は、保守的な考え方で、古くからのしきたりに厳格な傾向がある。
    禁欲生活が基本理念。
    『新市街』の『自治会』の進歩的な考え方に否定的なメンバーが多い。
  2. 自治会
    『新市街』に住む『神人』の代表者たちによって運営されている。
    自治会の会合は、団地の集会所や文化会館などで行われていることが多い。

    『旧市街』と異なり、『新市街』では多くの『神堕人』とも共生しているため、進歩的であることを余儀なくされている。
    そのため現実主義的な考え方をする傾向が強い。
  3. 病院
    『神人』たちの決定機関の総称。
    この“病院”に町の総意を決定する機構があることは、『旧市街』、『新市街』の上役ぐらいにしか知らされていない。
    会合が行われる場から、“病院”と称されている。

    『町内会』と『自治会』の合同会合は、『嫦娥医療センター』にある会議室で行われる。
    “合同会合”とは、各『町内会』『自治会』の主要メンバーを集め、『神人』全体の行く末を決定づける重要なもの。
    つまり、各代表者たちが集まり、決定した意見を“病院”の決定として取り扱う。
    “病院”の決定は『神人』の総意であり、違反することはコミュニティーを裏切ることとなる。
    よほどのことがない限り“合同会合”が開かれることはなく、普段は各『町内会』『自治会』の間だけでの会合が行われている。
  4. 警察
    『嫦娥町』の警察や消防、行政機関、その他の機関は『神人』によって統治されており、この町で起こる事態(内外から出される郵便物の操作や、役所における人事操作等々)は、裏で行われている。
    掟により葬られた『神人』の証拠隠滅や、報道操作等々も行っており、『神人』という存在が表に出ないよう務めている。
  5. 白狼観音
    『大神様』より選ばれ、『御徴』を受けた者のこと。
    豊作と災厄封じの祈願に『大神様』に捧げられたとされる。
    白狼観音として選ばれた彼らは、俗世を離れ『神域』へと送られる。
    白狼観音は、そこで『大神様』に仕え、穏やかに暮らすのだといわれている。

    今現在、そういった風習があるわけではなく、祭りでの白狼観音は昔の風習を伝えるための存在。
    毎年、町で決めた人にお願いし、祭りに参加してもらっている。
    白狼観音に選ばれるということは、この町の人にとって大変名誉なことである。

    白無垢の着物に、顔には狼を模した面、というのが白狼観音の正装となっている。

    祭りのためだけの擬似的な役割と思われていたが、それは実在するものだった。
    『神域』と呼ばれる場所で『大神様』に仕えながら、静かに余生を送るとされている神官だが、“新たに加わった『神人』への対応”“『衝動』のコントロールができず、暴走寸前になっている『神人』への対応”という役目が、重要な公務として任されている。
    このお役目は『座敷牢』で行われ、普段は『神域』に住む神官にとっては、唯一他者と触れることが許される“俗”の場である。

    白狼観音とは、『神人』の特徴……つまりは、老化現象が早期に現れた者。
    急激な老化が『御徴』として身体に表れた者を、白狼観音として『神域』へと移して俗世との交わりを断つという行為は、一般の『神人』の目から『御徴』が現れた者を遠ざけるためである。
    早期の内に老化が始まることを知れば、『神人』社会に動揺が走り、混乱が起こる。
    その混乱を防ぐため、秘密を知る『神人』は、太古の昔から『御徴』が現れた者を隔離してきた。
    一般の『神人』はその事実を知らず、白狼観音とは“神”に選ばれ“神”の元へ赴くという認識しかない。
    『大神様』に選ばれた特別な者であると祟め、奉ることにより、神聖な存在であるよう印象づけている。
  6. オオカミ
    謎の黒衣の集団。
    一様にフードのついた漆黒のロングコートをまとっており顔には狼を模した仮面をかぶっている。
    鉈や短剣や包丁など武器になるようなものを手にしており少なくともまともな出で立ちには見えない。

    彼らのことも、彼らが“殺した”もののことも表だって話されることはない。
    その痕跡すら、綺麗さっぱり消えている。

    『神人』の存在を『神堕人』から隠すために組織されている『神人』の集団。
    『神人』の禁を破った者を掟に則り処罰している。
    その行為は事情を知らない人から見ると、おぞましい殺人行為に映るが、『神人』が生きていくために、昔から行われてきたことなのである。

    主に『カミオトシ』を行うために行動している。
    仮面の下は特定の個人ではなく、その都度、自警団や『不埒者』の近親者等々で構成されているので、“オオカミは誰なのか?”という疑問への解答はない。
    強いて言うとすれば『嫦娥町』の闇、というのがオオカミの正体である。
  7. 強硬派
    『神人』の間には、強すぎる匂いを持つ者を殺してしまおうという過激な主張もある。
    もちろん、そういった主張は『神堕人』との共生をはかる『神人』にとって容認できるものではない。
    穏便に事を済ませようとする大半の意見により、その考えは否定されてきた。

    しかし、強すぎる匂いを持つ者の存在、加えて今年の異常気象により、これまでの生活が一変され『神人』たちの間にも動揺が走っている。
    今では、否定され続けてきた“『ミツ』を殺してしまおう”という考えも、再び『神人』たちの間で議題にあがっている。
    中には決定を持つ前に、元になる『ミツ』を殺してしまおうと動いている、強硬な考えを持つ者たちも存在している。
  8. 大神様
    この土地で祟められている土着神。
    山の中腹にある滝の近くに『大神様の社』が建てられており、そこに奉られている。
    『嫦娥町』一帯には昔、狼が生息しており、その狼の化身が大神様であると言われている。
    太陽や動植物等々の自然を祟め、恐れと敬いの心を表す自然信仰としては、珍しい形ではない。
    山中にある『嫦娥町』において、自然の恩恵や驚異は身近に感じられるもの。
    その中から自然信仰が生まれるのは当然の成り行きであり大神様はそういった自然信仰の形として存在しているのだろう。
    そのため、古くからこの土地に住む人々は、大神様への信仰が厚い。

    昨今、土地開発が進められる中、古くからこの土地に住む者には、それを良しとしない者たちもいる。
    山林を切り崩し、土地を広げ、自然に対する恐れと敬いの心を忘れたかのような人間に対して、大神様が怒っているのだと、まことしやかに囁かれている。
    “月夜の晩には鬼が出る”“人々によって山を追われた狼たちが、月の夜に人を襲いにやってくる”そういった噂の類もあるが、それは今に始まったことではなく、昔からこの土地で囁かれていることである。
  9. 嫦娥狼
    ここ嫦娥の近郊で見られたと言われる狼種。
    ハイイロオオカミ(通常、オオカミと呼称される種)の一種とされるが、体高80-110cm(推定)、体重40-70kg(推定)と、その種よりもさらに体格が大きく、また、歯並び等々にも若干の差異が見られる。
    今なお、学者たちの間では、色々と議論されている。

    嫦娥狼の完全な標本等々は残っておらず、この地の言い伝えとしてそのような狼が存在したとの記録があるだけである。
    わずかに毛皮や歯形といった部位だけが残るのみであることから、学者の中にはでっちあげだと切り捨てるものも多い。
    本当にそのような狼が存在したのかは、今なおハッキリとしない事実である。

    嫦娥狼というのは正式名称ではなく、昔からこの地に住む人々が呼称していたものである。
  10. 八朔祭り
    『嫦娥町』で毎年行われるお祭り。
    『八朔』の豊作祈願と収穫のお礼を『大神様』に捧げる祭事。
    満月の夜に古くからこの地で執り行われている。
    昔は神的意味合いが強く、厳密に満月の夜を選んでいたが現在ではお祭り色が濃く、満月に最も近い週末に行われている。
    町中をあげての、かなり盛大なお祭りである。

    この町では、昔から執り行われてきた神事の役割をなしている。

    豊作と災厄封じの祈願のため、昔は『大神様』に選ばれ『御徴』を得た『白狼観音』と呼ばれる神子を新月の夜に捧げていたのだという。
    八朔祭りは、そんな『白狼観音』を『神域』へと送り出す儀式だった。
    さすがに現在では『白狼観音』を捧げているわけでなく、そういった昔の風習をなぞった催し事が行われているだけである。
    毎年、『白狼観音』役をたて、お祭りの催しとなっている。

    お祭りのメインとなる催しに、“願い事を書いた『八朔』を拾う”というものがある。
    『白狼観音』が願いの書かれた『八朔』を『大神様』の元に送ってくれるとされており、拾った『八朔』に書かれている願い事は、拾った本人に叶うのだという。
    願い事の書かれた『八朔』は和紙に包まれており、一見してどのような願い事が書かれているかはわからないようになっている。
    『八朔』は町中に転がされ、町人参加型で行われるこの催しは大層な盛り上がりを見せる。
    一つでも多くの『八朔』を手に入れようと、あれこれ秘策を練るものも多い。
    普段から『八朔』の匂いで満ちている町中は、さらに『八朔』の匂いで溢れかえる。

    大量の『八朔』を転がすことにより、匂いを充満させ『神人』の暴走衝動を抑制するという目的がある。
    そのため、祭りの箇所はスタート地点である『大神様の社』だけにとどまらず、町中で行われる。
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